インプラントが割れたときの対処法|放置するとどうなる?
「インプラントの歯が欠けた」「噛んだときに違和感がある」「インプラントが割れたかもしれない」と不安になっていませんか?
結論から言うと、インプラントが割れたり欠けたりした場合は、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
割れているのが被せ物(上部構造)だけなのか、インプラント本体なのかによって必要な治療は異なりますが、放置すると症状が悪化し、修理だけでは対応できなくなる可能性もあります。
被せ物の破損であれば比較的負担の少ない治療で改善できるケースも少なくありません。
この記事では、インプラントが割れる原因や考えられるトラブル、放置するリスク、治療方法についてわかりやすく解説します。インプラントの破損に気付いた方は、早めの対応のためにもぜひ参考にしてください。
まずは落ち着いて!インプラントが割れた直後にやるべき3つの応急処置

インプラントが割れたり、欠けたり、外れたりした場合は、破損した部分によって必要な対応が異なります。
インプラントは、大きく分けて「上部構造」「アバットメント」「インプラント体」という複数の部品で構成されています。
そのため、「インプラントが割れた」と感じても、実際に破損している場所はさまざまです。
まずは慌てず、以下の応急処置を行い、できるだけ早く歯科医院で確認してもらいましょう。
割れた破片や外れた部品は捨てずに保管する
割れたり欠けたりしたインプラントの破片や、外れてしまった部品は、捨てずに保管してください。
清潔なケースや袋に入れて、歯科医院へ持参しましょう。破損した部品を確認することで、どの部分にトラブルが起きたのかを判断するための手がかりになります。
特に、上部構造が外れた場合は、無理に元の位置へ戻そうとせず、そのまま保管して受診することが大切です。
痛みや腫れがある場合は患部を冷やす
破損した部分やその周辺に痛み・腫れがある場合は、頬の外側から冷やすことで症状が和らぐことがあります。
濡れタオルや、タオルで包んだ保冷剤などを頬の外側から優しく当ててください。
ただし、直接氷を口に含んだり、患部を長時間冷やし続けたりするのは避けましょう。
強い痛みや腫れ、出血などがある場合は、自己判断で様子を見続けず、早めに歯科医院へ相談してください。
自己判断で接着・固定せず、破損した部位を確認してもらう
取れた被せ物や破片を、市販の接着剤などで元に戻そうとすることはやめてください。
誤った位置で固定すると、噛み合わせに影響したり、その後の診断・治療を妨げたりする可能性があります。
「インプラントが割れた」と感じても、まずは触らないことが大切
インプラントの破損は、どの部品が壊れたのかによって必要な処置が変わります。
▶上部構造の破損・脱落 → 破片や人工歯を保管して歯科医院へ
▶アバットメントの破損 → 無理に戻さず、部品を保管して受診
▶インプラント体の破損 → 自分で触ったり動かしたりせず、早めに受診
「少し欠けただけだから大丈夫」と自己判断せず、破損した部品を保管したうえで、治療を受けた歯科医院などに相談しましょう。
あなたの症状はどれ?破損した部位でわかる緊急度と状態

インプラントの破損は、どの部分が壊れたかによって治療法が大きく異なります。
ここでは、破損部位ごとの緊急度と状態を解説します。
【軽度】被せ物(人工歯)だけが欠けたり割れたりした場合
インプラントの最も外側にある、白いセラミックなどでできた人工歯(上部構造)だけが欠けた場合は、比較的軽度なトラブルです。
かみあわせや食いしばり、食事中に硬いものを噛んだ際などに起こりやすく、痛みがないことも少なくありません。
多くの場合、土台やインプラント本体に問題がなければ、被せ物を作り直すだけで修理が完了します。
「インプラントを入れたものの被せ物が合わない」「噛みにくい」「見た目が気になる」といった場合、インプラント本体に問題がなければ、上部構造(被せ物)の作り直しのみで改善できるケースがあります。
また、治療を受けた医院で十分な対応が受けられなかったり、相談しづらいと感じたりしたことをきっかけに、セカンドオピニオンとして当院へご来院される方も少なくありません。
【中度】土台(アバットメント)が緩んだり折れたりした場合
被せ物とインプラント本体を繋ぐ土台(アバットメント)が緩んだり、折れたりするケースです。
被せ物がグラグラする、取れてしまったといった症状が現れます。
アバットメントを固定しているネジの緩みが原因であれば、締め直すだけで解決することもあります。
しかし、アバットメント自体が破損・変形している場合は、新しいものに交換する必要があります。
インプラント本体への影響も考えられるため、早急な受診が求められます。
【重度】歯茎の中のインプラント体(フィクスチャー)が破損した場合
顎の骨に埋め込まれているインプラント体(フィクスチャー)自体が折れたり、破折したりするのは最も重篤な状態です。
非常に強い力がかかった場合や、重度のインプラント周囲炎が進行した場合に起こり得ます。
この場合、破損したインプラント体を除去し、骨の状態が良ければ再手術を行う必要があります。
治療は大規模になり、期間も費用も大きくなる可能性が高い深刻なトラブルです。
インプラントの破損を放置すると起こりうる5つのリスク

痛みがないからといって、割れたインプラントをそのままにしておくのは非常に危険です。
放置することで、口内環境が悪化し、より深刻な問題へと発展する可能性があります。
ここでは、インプラントの破損を放置した場合に考えられる5つのリスクについて説明します。
噛み合わせが悪化し健康な歯に負担がかかる
破損したインプラントを放置すると、全体の噛み合わせのバランスが崩れます。
正しく噛めない状態が続くと、無意識に反対側の歯ばかりで噛むようになり、特定の歯に過度な負担がかかってしまいます。
その結果、健康な歯がすり減ったり、欠けたり、あるいは顎関節症を引き起こしたりするなど、他の部位にまで問題が広がる可能性があります。
破損部分から細菌が侵入し感染症を引き起こす
インプラントの破損部分は、汚れが溜まりやすく、細菌の温床になりがちです。
ひび割れや隙間から細菌が侵入すると、歯茎が炎症を起こすインプラント周囲炎を発症するリスクが高まります。
インプラント周囲炎は自覚症状が少なく、気づかないうちに進行してインプラントを支える顎の骨を溶かしてしまう恐ろしい病気です。
鋭利な部分が口の中を傷つける恐れがある
割れたインプラントの断面は鋭利になっていることが多く、舌や頬の内側の粘膜を傷つける原因となります。
食事や会話のたびに同じ場所が刺激されると、口内炎ができやすくなったり、治りにくくなったりします。
小さな傷から細菌が入り込み、炎症を引き起こす可能性も否定できません。
顎の骨が吸収されて再治療が難しくなる
特にインプラント体や土台の破損を放置した場合、周囲の組織に炎症が広がり、インプラントを支えている顎の骨(歯槽骨)が吸収されてしまいます。
骨が不足すると、インプラントを支えることができなくなり、最終的には抜け落ちてしまうこともあります。
骨が大きく失われると、再治療の際に骨造成などの追加手術が必要となり、治療の難易度や身体的負担が増大します。
結果的に治療費が高額になる可能性がある
初期段階で対処すれば被せ物の作り直しだけで済んだはずのトラブルも、放置することで悪化し、より複雑な治療が必要になります。
例えば、インプラント体の再手術や骨造成が必要になると、治療費は当初の修理費用とは比較にならないほど高額になります。
早期発見・早期治療が、結果的に経済的な負担を軽減することにつながります。
なぜ?インプラントが割れてしまう主な5つの原因

インプラントは非常に丈夫な素材で作られていますが、永久に壊れないわけではありません。
割れてしまう背景には、いくつかの原因が考えられます。
自身の生活習慣や口内環境を見直すためにも、インプラントが破損する主な原因を理解しておくことが大切です。
歯ぎしりや食いしばりによる過度な負担
就寝中の歯ぎしりや食いしばりによって、インプラントや上部構造に強い力が繰り返しかかることがあります。
インプラントには、天然歯にあるような衝撃を和らげる「歯根膜」というクッション組織がありません。
そのため、過度な力が直接インプラントや被せ物にかかり続け、疲労が蓄積して破損の原因となります。
事故や転倒による外部からの強い衝撃
交通事故やスポーツ中の衝突、転倒などによって顔面を強く打った場合、その衝撃で人工歯が割れたり、インプラント体が折れたりすることがあります。
天然の歯と同様に、強い外力が加わればインプラントもダメージを受けます。
特に前歯のインプラントは外部からの衝撃を受けやすいため注意が必要です。
噛み合わせの変化による負荷の集中
インプラント治療直後は噛み合わせが最適化されていても、時間の経過とともに他の歯が動いたりすり減ったりすることで、全体のバランスが変化します。
その結果、特定のインプラントに噛む力が集中するようになり、許容量を超える負荷がかかって破損につながることがあります。
定期的なメンテナンスで噛み合わせをチェックすることが重要です。
インプラント周囲炎による土台の悪化
インプラント周囲炎が進行すると、インプラントを支える顎の骨が吸収されてしまいます。
土台となる骨が弱くなるとインプラントが不安定になり、正常な噛み合わせの力でもぐらつきや破損を引き起こしやすくなります。
日々のセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアで、インプラント周囲炎を予防することが破損防止にもつながります。
人工歯や土台部分の経年劣化
インプラント体(フィクスチャー)はチタン製で適切なケアによって長期間使用できることが期待されますが、被せ物である人工歯や土台のアバットメントは消耗品です。
特にセラミックなどの素材は、長年の使用によって目に見えない微細な傷がつき、それが原因で耐久性が低下して割れることがあります。
使用状況にもよりますが、一定の年数が経過すると交換が必要になる場合があります。
インプラントが割れた場合の治療法
インプラントが割れた際の治療法は、破損した部位やその範囲によって大きく異なります。
ここでは、それぞれのケースごとに行われる一般的な治療内容について解説します。
被せ物(人工歯)の作り直しにかかる費用と治療期間
被せ物のみが破損した場合、型取りを行い、新しい人工歯を製作して装着します。
費用は、状態や使用する部品、治療内容などによって異なりますので、詳しくはお問い合わせください。
治療期間は、型取りから新しい被せ物の装着まで2週間~1ヶ月ほどで、その間は見た目を補うために仮歯を装着することがあります。
土台(アバットメント)の交換・修理にかかる治療期間
土台(アバットメント)のネジが緩んでいるだけなら、締め直しのみで対応できます。
しかし、アバットメント自体が破損している場合は交換が必要です。治療期間は1ヶ月~2ヶ月ほどかかる場合があります。
インプラント体(フィクスチャー)の再手術にかかる費用と治療期間
顎の骨に埋まっているインプラント体が破損した場合は、大掛かりな治療となります。
まず、破損したインプラント体を除去する手術が必要です。
骨の損傷が激しい場合は、骨が再生するのを待つか、骨造成手術を行ってからインプラントの再埋入術を行います。
治療期間は骨の回復を待つため、半年から1年以上かかる可能性があります。
修理費用は保証でカバーできる?確認すべき2つのポイント
高額になりやすいインプラントの修理費用ですが、歯科医院の保証制度を利用できる場合があります。
ただし、保証には適用条件があるため、誰でも無料で再治療を受けられるわけではありません。
ここでは、保証について確認すべき2つの重要なポイントを解説します。
歯科医院が設けている保証期間と内容
多くの歯科医院では、インプラント治療に対して独自の保証制度を設けています。
保証内容は、期間内であれば無料で再治療を行う、あるいは一部自己負担で対応するなど、医院によって様々です。
治療前に受け取った保証書を確認するか、直接歯科医院に問い合わせて、自分のケースが保証の対象になるか、どのような内容かを確認しましょう。
保証が適用されないケースとは
保証制度には、適用条件が定められているのが一般的です。
事故や転倒など患者側の過失による破損や、歯ぎしり防止用のマウスピースの使用指示に従わなかった場合などは、保証の対象外とされることがあります。
よくある質問
ここではインプラントが割れた際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
インプラントの破片を飲み込んでしまった場合、どうすればいいですか?
破片を飲み込んだ可能性がある場合は、まず治療を受けた歯科医院へ連絡してください。
咳き込みや息苦しさ、胸部の違和感などがある場合は、誤嚥の可能性もあるため速やかに医療機関を受診しましょう。
治療したばかりのインプラントが割れたら、無料で修理してもらえますか?
保証期間内であっても、保証内容や破損原因、メンテナンスの受診状況などによって対応が異なります。
まずは治療を受けた歯科医院に連絡し、保証内容と適用条件を確認することが重要です。
痛みがなくても、すぐに歯医者に行くべきですか?
はい、痛みがなくても必ずできるだけ早く歯科医院を受診してください。
放置すると、破損部分から細菌が感染したり、噛み合わせが悪化して他の歯に悪影響を及ぼしたりする恐れがあります。
早期に対処することで、治療が簡単かつ低コストで済む可能性が高まります。
まとめ
インプラントが割れた際は、まず落ち着いて破片を保管し、歯科医院に連絡することが重要です。
自己判断で接着剤を使用したり、放置したりすると、感染症や噛み合わせの悪化など、より深刻な問題を引き起こす可能性があります。
破損の原因は多岐にわたりますが、定期的なメンテナンスやナイトガードの使用で再発を予防できます。
万が一の際は、速やかに専門家である歯科医師に相談してください。
他院で受けたインプラントについてもご相談ください
当院では、他院で埋入されたインプラントのご相談にも対応しております。インプラント本体に問題がない場合は、上部構造(被せ物)の作り直しのみで改善できるケースもございます。
「噛みにくい」「見た目が気になる」「治療後の対応に不安がある」といったお悩みから、セカンドオピニオンとしてご来院される患者様も少なくありません。現在のお口の状態を丁寧に診査し、患者様のお口の状態やご希望を踏まえ、適切と考えられる治療方法をご提案いたします。
埼玉でインプラント治療に力を入れている歯科医院をお探しの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
インプラントの再治療や被せ物の作り直しはもちろん、治療後の違和感や不安についても丁寧にお話を伺います。
患者様が安心して長くインプラントを使い続けられるよう、しっかりとサポートいたします。
https://www.misawa-implant.jp/consultation/
記事監修 ミサワデンタルクリニック理事長 三澤 篤
■略歴
- 明海大学歯学部 卒業
- 南カリフォルニア大学 留学
- 東埼玉人工歯根研究会 主幹
- 医療法人社団みさわ会 理事長
■所属学会・資格
- 歯科医師臨床研修指導医
- ストローマンインプラント指導医
