インプラントがグラグラするのは危険?緩む原因と今すぐできる対処法
「インプラントが少しグラグラする気がする…」
「噛むと違和感があるけれど、このまま様子を見ても大丈夫?」
インプラント治療を受けた方の中には、このような不安を感じる方も少なくありません。
結論からいうと、インプラントがグラグラする原因として最も多いのは、インプラント本体ではなく、上部構造(人工歯)を固定しているネジの緩みです。ネジが緩んでいるだけであれば比較的対応しやすく、早めに歯科医院で調整を受けることで改善できるケースがほとんどです。
しかし一方で、
- インプラント周囲炎によって骨が減少している
- 強い噛みしめや食いしばりで負担がかかっている
- インプラント本体と骨の結合に問題が生じている
などのケースでは、放置によって症状が悪化する可能性があります。
また、ネジの緩みであっても注意が必要です。インプラントはメーカーごとに使用する専用ドライバーや器具が異なるため、治療を受けた歯科医院以外で対応する場合、部品や器具の取り寄せが必要になることがあります。
実際に、「治療を受けた医院で十分な対応をしてもらえなかった」「転居して元の医院に通えなくなった」といった理由で、当院へご相談に来られる患者様も少なくありません。
インプラントのグラつきは、原因によって緊急性や必要な処置が大きく異なります。この記事では、インプラントがグラグラする主な原因、放置するリスク、今すぐできる対処法について歯科医師の視点からわかりやすく解説します。
インプラントのぐらつきは放置NG!すぐに歯科医院へ相談が必要なサインです

インプラントのぐらつきに気づいた場合、痛みがないからといって放置するのは非常に危険です。
ぐらつきは、インプラントやその周りの組織に何らかの問題が起きている証拠であり、自然に治ることはありません。
放置すると症状が悪化し、最悪の場合インプラントを失うことにもなりかねません。
問題が小さなうちに対処するためにも、異変を感じたらすぐ治療を受けた歯科医院へ連絡し、診断を受けることが重要です。
インプラントがグラグラする!考えられる3つの主な原因
インプラントがぐらぐらする状態には、いくつかの原因が考えられます。
主に考えられる原因は、「ネジの緩み」「インプラント周囲炎」「骨との結合不全」の3つに分けられます。
ここでは、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
原因①:被せ物や土台を固定しているネジが緩んでいる
インプラントのぐらつきで最も多く、比較的軽度な原因が、部品を固定しているネジの緩みです。
インプラントは、顎の骨に埋める本体(フィクスチャー)、被せ物と本体を繋ぐ土台(アバットメント)、そして人工の歯である被せ物(上部構造)の3つのパーツで構成されています。
この土台と本体を繋ぐネジが、日々の噛み合わせの力や歯ぎしり、食いしばりなどによって少しずつ緩んでしまい、被せ物がぐらぐらすることがあります。
原因②:歯周病に似た「インプラント周囲炎」で骨が溶けている
インプラント周囲炎は、インプラント版の歯周病ともいえる病気です。
日々の清掃が不十分だと、インプラントの周りに歯垢や歯石が溜まり、細菌が繁殖して歯茎に炎症が起こります。
この状態が進行すると、インプラントを支えている顎の骨が溶かされてしまい、インプラント本体がぐらつくようになります。
初期段階では自覚症状がほとんどなく、気づいた時にはかなり進行しているケースも少なくありません。
原因③:インプラント本体と顎の骨がしっかり結合していない
インプラント治療は、チタン製のインプラント本体と顎の骨がしっかりと結合することで成り立ちます。
しかし、手術後の感染、骨の量が不足していたり質が悪かったりする場合、あるいは喫煙や糖尿病といった全身疾患の影響で、この骨結合がうまくいかないことがあります。
インプラントがぐらつく原因が骨結合の不十分さによる場合、インプラントの土台から揺れている状態であり、早急な対応が必要です。
グラグラするインプラントに絶対やってはいけないNG行動

インプラントが揺れると、どれくらい動くのか気になって触ってみたり、自分で元に戻そうとしたりしがちです。
しかし、自己判断での対処はかえって状況を悪化させる危険性が高く、絶対に避けるべきです。
細菌感染を引き起こしたり、周囲の組織を傷つけたりする可能性があります。
ここでは、インプラントのぐらつきに気づいた際に、絶対に行ってはいけない行動を3つ紹介します。
自分で押し込んだり揺らしたりして状態を確認する
ぐらつきが気になり、指や舌で揺らしたり、元の位置に押し込もうとしたりする行為は絶対にやめましょう。
不安定なインプラントに余計な力を加えることで、周囲の歯茎や骨を傷つけ、炎症を悪化させる可能性があります。
また、指で触ることで口腔内の細菌が患部に入り込み、感染症を引き起こすリスクも高まります。
ぐらつきの状態は自分で判断せず、専門家である歯科医師に診てもらうことが鉄則です。
外れた部品を市販の接着剤で付けようとする
万が一、被せ物などの部品が外れてしまっても、市販の瞬間接着剤などで付け直すことは絶対にしてはいけません。
市販の接着剤は人体への安全性が保証されておらず、化学物質が歯茎に悪影響を及ぼす恐れがあります。
また、不適切な位置で固定してしまうと噛み合わせに問題が生じ、インプラント本体や他の健康な歯にまでダメージを与えかねません。
歯科医院での適切な再装着を妨げる原因にもなります。
痛みがないからと放置して様子を見る
特にインプラント周囲炎は、初期から中期にかけて痛みなどの自覚症状がほとんどないまま進行します。
「痛くないから大丈夫だろう」と放置している間に、インプラントを支える骨は静かに溶かされていきます。
ぐらつきという明らかなサインが出ているにもかかわらず様子を見ることは、問題を深刻化させます。
手遅れになり、インプラントを抜かなければならなくなる前に、必ず歯科医院を受診してください。
インプラントのぐらつきに気づいた時にすぐやるべき対処法

インプラントのぐらつきに気づいたら、慌てず落ち着いて行動することが大切です。
自己判断で触ったりせず、すぐに行うべき適切な応急処置があります。
これらの対処法を知っておくことで、症状の悪化を防ぎ、その後の歯科医院での治療をスムーズに進めることができます。
ここでは、もしもの時に備えて、ぐらつきを感じた際にすぐ実践すべき3つの対処法を解説します。
まずは治療を受けた歯科医院に速やかに連絡する
インプラントのぐらつきに気づいたら、何よりもまず、治療を受けた歯科医院へ速やかに連絡してください。
電話で「いつから、どの歯が、どのようにぐらつくのか」「痛みや腫れはあるか」といった具体的な状況を伝えることで、歯科医院側も緊急性を判断しやすくなります。
自己判断で様子を見ずに、できるだけ早く予約を取り、専門家の診察を受けることが最善の策です。
万が一外れても部品は捨てずに保管して持参する
ぐらついていた被せ物やネジが口の中で取れてしまうことがあります。
取れた部品は、決して捨てずに保管してください。
清潔な容器やチャック付きの袋などに入れ、歯科医院を受診する際に持参しましょう。
部品に破損がなく、洗浄・消毒することで再利用できる場合があります。
もし紛失してしまうと、新しい部品を再製作する必要があり、余計な費用と時間がかかる可能性があります。
患部に負担をかけないよう反対側の歯で食事する
ぐらつきがあるインプラントで食事をすると、揺れが大きくなったり、痛みが出たりする可能性があります。
また、インプラントや周囲の組織にさらなる負担をかけ、症状を悪化させる原因にもなりかねません。
歯科医院で診てもらうまでは、できるだけ患部を使わないようにし、反対側の歯で食事をするように心がけましょう。
硬い食べ物や粘着性の高いガムなども避けるのが賢明です。
歯科医院で行われるインプラントのぐらつき治療法を原因別に解説

歯科医院では、まずレントゲン撮影や視診、触診などを行い、ぐらつきの原因を正確に突き止めます。治療法はその原因によって大きく異なります。
ここでは、原因別に歯科医院でどのような治療が行われるのかを具体的に解説します。
【ネジの緩みが原因の場合】部品の締め直しや交換
ぐらつきの原因が、被せ物や土台を固定しているネジの緩みであった場合は、比較的簡単な処置で解決します。
まずは被せ物を一度取り外し、インプラントの内部をきれいに洗浄します。
その後、専用の工具を使って緩んだネジを適切な力で締め直します。
ネジが摩耗したり破損したりしている場合は、新しいネジに交換することもあります。
この処置だけでぐらつきは解消され、再び快適に使えるようになります。
【インプラント周囲炎が原因の場合】専門的な洗浄や外科処置
インプラント周囲炎が原因の場合、その進行度によって治療法が異なります。
軽度であれば、インプラントの周りに付着した歯垢や歯石を専用の器具で徹底的に除去し、洗浄・消毒します。
進行して骨の破壊が進んでいる場合は、歯茎を切開してインプラントの表面をきれいに清掃する外科的な処置が必要です。
場合によっては、失われた骨を再生させるための骨造成手術が行われることもあります。
【骨結合が原因の場合】インプラントの再手術または撤去
インプラント本体と顎の骨が十分に結合していないことが原因の場合、残念ながらそのインプラントを使い続けることは困難です。
このケースでは、一度インプラントを撤去する手術が必要になります。
撤去後、骨の状態が改善するのを待ち、再度インプラントを埋め込むための再手術が可能かどうかを慎重に判断します。
患者様の骨の量や健康状態によっては、再手術が難しい場合もあります。
インプラントのぐらつきに関するよくある質問
インプラントがぐらぐらすると、治療のことだけでなく、費用や保証など様々な疑問や不安が浮かんでくるものです。
ここでは、インプラントのぐらつきに関して患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
インプラントのぐらつきは治療の失敗ですか?保証は適用されますか?
一概に治療の失敗とは言えません。
ネジの緩みのような経年によるものもあれば、日々のケア不足による周囲炎、体質による骨結合不全など原因は様々です。
保証の適用は、ぐらつきの原因や保証期間、内容によって異なります。
多くの歯科医院では保証制度を設けていますが、定期メンテナンスの受診が条件の場合がほとんどです。
まずは治療を受けた歯科医院に直接確認してください。
ぐらつきを治すための治療費はどのくらいかかりますか?
治療費は原因によって大きく変動します。
ネジの緩みを締め直すだけなら数千円程度で済むことがほとんどです。
しかし、インプラント周囲炎の外科処置や、インプラントの撤去・再手術となると、保険適用外のため数十万円以上の高額な費用がかかる可能性があります。
まずは正確な診断を受け、治療法とそれに伴う費用の見積もりについて歯科医師とよく相談することが重要です。
治療を受けた歯科医院が閉院した場合どこに相談すればいいですか?
他のインプラント治療を行っている歯科医院で相談可能です。
その際、ご自身のインプラントのメーカーや種類が分かると治療がスムーズに進みます。
以前の医院から紹介状や治療記録をもらっている場合は持参しましょう。
もし情報がなくても、レントゲン撮影などで種類を特定できる場合が多いので、まずはインプラント治療の実績が豊富な歯科医院を探して連絡してみることをお勧めします。
まとめ:インプラントのぐらつきは自己判断せず、すぐに歯科医へ相談を
インプラントがぐらぐらする状態は、決して放置してよいものではありません。
その裏には、簡単なネジの緩みから、インプラントの寿命に関わる深刻な問題まで、様々な原因が隠れています。
最も重要なことは、異変に気づいた時点ですぐに専門家である歯科医師に相談することです。
自己判断で触ったり、様子を見たりすることは、状況を悪化させるだけです。
早期発見・早期治療が、大切なインプラントを長く使い続けるための鍵となります。
ミサワデンタルクリニックでは、インプラント無料相談会を開催中です。
相談、検査、全て無料で行っておりますので、お悩みの方はお問合せください。
https://www.misawa-implant.jp/consultation/
記事監修 ミサワデンタルクリニック理事長 三澤 篤
■略歴
- 明海大学歯学部 卒業
- 南カリフォルニア大学 留学
- 東埼玉人工歯根研究会 主幹
- 医療法人社団みさわ会 理事長
■所属学会・資格
- 歯科医師臨床研修指導医
- ストローマンインプラント指導医
